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地価総下落.1

〜ニュース点描〜
〜地価公示、最大級の下落〜 (平成22年3月18日地価公示発表)


(1)公示地価2年連続下落。商業地下げ目立つ(同日付日刊紙)

08年秋からの世界同時不況の影響が全国に広がり、下落率が拡大した。とりわけ商業地の落ち込みが大きい。なかでも新橋や銀座など都心の商業地が最大級の下落である。

(2)中央、千代田下げ目立つ。
住宅地、商業地ともに中央、千代田などの都心部の落ち込みが大きい。
住宅地は実需による底入れの兆しもあるが、商業地は企業の投資抑制などを背景に依然として底が見えない状況だ。
2桁の下落は中央、千代田、港、新橋、渋谷の都心5区。オフィス需要や不動産投資の縮小が地価を直撃した。
銀座4丁目△25.7%、
新橋1丁目26.9%、
丸の内2丁目、△17.6%、
渋谷区宇田川町△13.6%
と目をおおうばかりの下落である。

(3)揺らぐ銀座神話。高級衣料店、相次ぎ撤退。
銀座の一等地が26%近く下がった。高級衣料店の撤退、閉店が相次ぎ、ニューヨーク5番街などと並んでブランド力が高く地価が下がらない商業地としての”銀座神話”が揺らいでいる。背景にあるのは銀座の変化。高級衣料のヴェルサーチが撤退、ヴァレンティノやブルックスブラザーズが店を閉じ、西武有楽町店も年末に閉店する。一方でユニクロが大幅増床し、米カジュアル衣料のアバクロンビー&フィッチが出店した。街の新陳代謝のとも言えるが、超高級店を集めるイメージは薄れがち。優良ビルの賃料相場は1年で2割近くも下がっている。また、夜の社交場としての高級クラブやバーも経営が悪化し、急遽に閉鎖、撤退が進行している。デフレ時代の企業の交際費削減は当然の帰結で今後この傾向には拍車がかかることが予想される。

(4)地価総下落。銀行再び損失先送り。
06年から07年にかけて膨らんだ不動産ミニバブル。不動産ファンドなどが調達した融資の大半は証券化商品として投資家に売られ10年だけで約1兆4000億円分が満期を迎える。しかし、取得したビル等は半値以下に下落し、借り換えは困難。先送りせざるを得ない。かつて同じような光景が見られた。返済猶予、追い貸し、飛ばし、バブル崩壊後の90年代、日本の銀行は不動産融資で被った不良債権の表面化を避けようと含み損を先送りし、不動産市況の底入れを大幅に遅らせた。金融危機を経て、同じ構回が繰り返されようとしている。

(5)地方の冷え込み続く
地方圏は住宅地、商業地とも18年連続で下落。
地方の地価下落には人口減や高齢化といった構造問題に加え、金融危機後の経済活動の萎縮も影を落としている。工場、支店等の閉鎖、撤退、海外移転等が相次いでいる。

(6)資産デフレ長期化の様相。
下落は不動産の収益力の低下を反映している。景気低迷でオフィスの空室率が上昇している。気になるのは日本の魅力の低下である。一部の高級ブランドが日本から撤退し、日本で最も収益力の高い東京、銀座で地価が急落した。今後の人口減少、デフレ長期化も予想され、資産デフレは長期化の様相を呈している。


次回予告:(つづき)