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M&Aと土地の時価.1

〜時価開示、企業を走らす〜

  • 12月25日付 日刊紙:企業の不動産有効活用に某ゼネコンが支援事業本格化・・・
    建設技術と不動産取引のノウハウを組み合わせて、遊休資産の価値を高める手法を企業に提案・・・
    2010年3月末決算よりオフィスビルなどの賃貸不動産の時価を開示する新しい会計ルールが導入され、遊休不動産をもつ企業は有効活用を迫られるためニーズが高まるとみられている。

    (筆者評)
    まことに時の流れに乗ったとり上げ方である。ただ、賃貸不動産の時価開示の問題と遊休不動産の問題は直ちにイコールではないが。
  • 7月25日付 日刊紙:不動産の効率管理広がる。
    企業、損失計上リスク意識・・・会計ルール厳格化が背中押す。

    事業会社の間で土地や建物といった不動産を効率的に管理する取り組みが広がってきた。効率管理により企業価値を向上させ、会計上の損失計上リスクを 回避する経営が意識されて来たのが背景だ。
    多くの企業で「不動産の購入は財務部門、賃貸は総務部門といった様に不動産の管理体制はバラバラ」で改善の余地が大きい。不動産を巡る会計ルールが年々厳しくなっていることが背景にある。
    まず、「固定資産の減損会計」が義務付けられたのを皮切りに「販売用不動産の低価法が適用され、今期末に「賃貸等不動産の時価開示」が始まる。市況悪化で不動産の減損処理や評価損計上などのリスクは少なくなく、バラバラの管理体制では遊休地の把握や有効活用など計画的な対応ができない恐れがある。

    (筆者評)
    当事務所ではかねてより“固定資産の一元管理のすすめ”として同様の効率管理を提唱しているので、まことに同感であります。
  • 12月9日 日刊紙:国際会計基準IFRS導入で企業不動産が時価評価へ移行
    早ければ2015年にもIFRSが日本にも導入される見通しだ。これにより企業不動産の評価方法は大きく様変わりするため、その対応について根本的に考え直さなくてはならなくなって来ている。
    IFRSの特徴は一定期間における企業価値の変動を利益とする考え方で保有不動産の含み損益も算入されるため、その実態がいや応なく明らかになる。
    二番目の特徴は「公正価値」への移行だ。公正価値とは公正な評価額という意味で時価(市場価格に基づく合理的な評価額)と言い換えてもよい。この様に企業の業績をはかるモノサシが変わるためIFRSに対応するためのプロセスの整備、システムの変更、拡張等が必要となって来た。

    (筆者評)
    IFRSの導入により、わが国に多い企業同士の株式持合いがゆらいでいる。それは持合株式の含み損益がそのまま損益に直結してしまうからである。株式の時価評価による損益は現在は資本の部に反映されてP/Lには中立となっているが、IFRSでは直接P/Lに算入される。このため決算のリスクが格段に大きくなり経営の根幹をゆさぶりかねない。これを回避する方法は持合いを止めることである。多くの企業が検討中と思われる。
    第二に先述末の不動産についても事情は同じであろう。原価主義の下では文字通り不動産で安全、安定資産であったが時価主義においてはリスク資産ともなりかねない。このため将来は“もたざる経営”を指向するのではないか。すなわち借りる経営、あるいは証券してオフバランス化する経営等で身軽になり資産の固定化を避けることが考えられる。
次回予告:M&Aと時価