会社法と土地の時価
4.会社法における土地の時価
会社法において土地の時価が必要とされる場合は、非上場株式の会社財産の中に土地が含まれている場合のその株式の評価においてである。
非上場株式の評価が必要となる場合は下記の通りである。
- 反対株主の買取請求
- 土地とは、一定の範囲すなわち登記等に1筆の土地として記載された地面及び地表の利用に相当な範囲の上下(空中及び地中)を色含する。土地の登記上の地目としては田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、地沼、山林、牧場、原野、墓地、境内地、運河用地、水道用地、用排水路、ため池、提、井溝、保安林、公衆用道路、公園、雑種地の分類となる。
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営業譲渡、合併に反対する株主の買取請求の場合の株価決定。
株主総会において営業の全部又は重要な一部の譲渡が決議された場合に反対した、又は合併承認株主総会において反対した株主はその株式の買取を請求できる。この場合、非上場株式の評価が必要となり、土地の時価が求められる。 -
定款を変更して株式の譲渡制限を付する旨の定めに反対する株主の買取請求。
この場合、書面で反対した株主は買取請求ができ、その売買価格の協議が不調のときは、裁判所に対してその決定を請求できる。この場合、非上場株式の鑑定評価が必要となり、土地の時価が要求される。
- 株主以外の者に対して特に有利な価格で新株を発行できることは既存の株主の権利を侵害するため、株主総会の特別決議が必要とされる。この「特に有利な価格」か否かを決定するため、株価の評価が必要となり土地の時価が求められる。
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自己株式の買取及び売却の場合
会社が自己株式を買取る場合、及びすでに取得している自己株式を買却する場合にも株式の鑑定評価が必要となる。 -
現物出資の場合
株式会社の設立又は増資に際して現物出資を行う場合に、土地や非上場株式が含まれているときは、その鑑定評価が必要とされる。 -
株式交換、株式移転
株式交換、株式移転に際しては、受けとる株式についてその鑑定評価が求められる。又、これに反対する株主の株式買取請求権行使の場合も株式の鑑定評価が必要となる。
以上の各場合、会社法において求められる土地の時価とは何を基準とするか。一般的に時価であり正常価格である。具体的には不動産鑑定士による鑑定評価額である。
次回予告:M&Aと土地の時価
- 2009.10.13第一回 土地の市場価格
- 2009.10.19第二回 不動産鑑定評価における時価
- 2009.10.26第三回 企業会計における土地の時価
- 2009.11.02第四回 土地の売却可能価格他
- 2009.11.20第五回 各法律上の土地の時価各論
- 2009.12.03第六回 不動産を「固定資産」に。 不動産関連企業、振り替え相次ぐ。
- 2009.12.07第七回 会社法と土地の時価
- 2009.12.19第八回 M&Aと土地の時価.1
- 2010.01.21第九回 M&Aと土地の時価.2
- 2010.01.30第十回 固定資産税と時価
- 2010.02.02第十一回 会社更生と時価
- 2010.02.25第十二回 相続と時価.1
- 2010.04.11第十三回 相続と時価.2
- 2010.04.16第十四回 法人税法、所得税法における土地の時価.1
- 2010.04.22第十五回 法人税法、所得税法における土地の時価.2
- 2010.04.29第十六回 その他税法における時価
- 2010.05.09第十七回 地価総下落.1
- 2010.05.26第十八回 地価総下落.2
- 2010.05.26第十九回 地価まとめ
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