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M&Aと土地の時価.2

5.M&Aと時価

M&Aというとグローバリズムの象徴のように思われ、企業の効率的な買収・売却のことといわれれば何やら空恐ろしくも感ぜられる。これを日本式に言えば、企業再編のこととなって少し落ち着く。 いずれにせよM&Aといい、再編というもそのプロセスに時価評価を抜いては語れない。
これらの場合の時価評価とはいかなる視点から行われるのか。
その視点、立場の相違は評価結果に天と地の差異をもたらす。
実際のケースでは必ずしも、判然と二分されるわけではないが、その重点の置き方で時価のとらえ方が変わってくるのである。

  • M&Aを純粋に投資とその回収と見る場合
    いわゆるファンドが投資物件として買収し数年をおいて転売して回収するというスタンスである。
    そこでは事業の継続、生産設備の運転・維持はあまり重視しない。少なくとも目的ではない。 極端に言えば清算して個々の資産を売却してそれでリターンが得られればそれで良いのである。
    従ってこの立場においてニュアンスの相違はあるものの極論すれば直ちに各資産を分解売却した場合、いくらキャッシュフローが得られるのかが立脚点となる。

    例えば工場の設備と敷地の場合、建物・設備を廃棄して更地にして転売するものとする。
    • 建物・設備の取り壊し廃棄費用
    • 土地の汚染浄化費用
    等は土地の売却に要するコストとしてマイナスキャッシュフローとして差し引かれるので、土地の正味売却価格は大幅に減価することとなる。
  • M&Aを経営資源の統合と見る立場
    この場合は生産力の維持、資源の効率的統合が目的となるので事業継続が前提となる。
    基本的には対象企業をそのまま吸収してより効率的な生産活動を行うことを目的とする。
    この場合の時価は再調達価格(または復成価格)となる。現在、新たに工場を作ったらいくらかがその立脚的である。 すなわち

    • 敷地は鑑定評価価格(市価)
    • 建物・設備は再調達原価。すなわち同様・同品質の材料を用いて建築し、同能力の設備を備置するのに必要なコストは現在いくらかを求めこれを経年減価償却した価格を、求め@とAの合成が再調達価格の骨格である。
    以上二つの立場から導かれる時価について略述したがこれらの評価手続きはM&A企業再編プロセスにおける事前調査、いわゆるデューディリジェンスの中心命題をなすものである。

    実務上、全部の案件について鑑定評価を求めることは時間的制約もあって実行できないので、実践的方法としては下記のいずれかの略式評価を用いて代用することが多い。

    • 路線価還元方式
      時価=路線価 / 0.8
      (注)相続税路線価は時価の80%相当額を目途に制定されている。
    • 固定資産税評価額還元方式
      時価=固定資産税評価額 / 0.7
      (注)固定資産税評価額は時価の70%相当額を目安として制定されている。
次回予告:固定資産税における土地の時価