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会社更生と時価

7.会社更生と土地の時価

会社更生法において財産の評価は時価で行うとしている。財産評価の第一の立場は企業会計の基準に立つ取得原価ベースでありもう一つは時価評価である。その時価評価にあたっては事業継続の前提に立つものと、事業を解体・清算・売却をする前提に立つ者との二種類があることは前述した。
そこで会社更生法上の時価とは何か?となるが、これは正常価格とされている。いわゆる市場で形成される適正な価格を言うとしている。

具体的扱いとしては市場における換価可能価格を求めることとなる。更生会社はデフォルトの危機、多大なリスク等を抱えており信用力、ブランド力の低下等は財産評価にマイナスとなる。この為、健全企業における正常価格と更生会社の時価との間には大きなギャップが生ずる。しかしながら会社清算における様ないわゆる処分価格までは減額しない、いわゆる中間ゾーンに落ち着くことになろう。

以上は会社更生法上の時価についてであるが、似たようなケースで民事再生法においてはどうなるか。民事再生手続きにおいては、一切の財産につき価格を評価しなければならないとしている。
この場合の財産評価は正常な状況での売買を前提とした市場価格ではなく、早期に換価しなければならない早期売却市場における処分を前提とした価格を求めることとなる。ただし競売を前提とした処分価格ではなく、任意の公開市場を前提とした早期売却市場である。
この様に民事再生法上の時価の取り扱いは、会社更生手続き上の時価より一段と減額された処分価格ということになる。

[ニュース点描] (1月20日日刊紙より)

  • 巨大企業更生法申請
    我が国を代表する巨大企業が会社更生法の申請とはまことにショッキングである。加えて約九千億の債務超過という。確か会社の決算上は約1,400億円の自己資本があったはず。単純には約一兆四百億の資産が消失したことになる。紙面解説は‘継続企業が前提の決算と更生上の時価評価の差である‘とし、大半は‘すぐ処分できる価格で評価する‘という弁護士の見解をのせている。まさに原則的にはよくわかるが、しかし巨額数字にはオドロキである。そして資産が大きく半減したことには疑問も感ぜられる。これは時価の差額のみではなく、いわゆるデリバティブ関係とか証券化商品の評価等多くの要因がからんでいるのではないか。
  • (1月21日日刊紙)―土地評価損 650億円―
    某ハウスメーカー土地評価損650億円を計上したために赤字転落。これは前述した「棚卸資産の低下法適用による時価評価」の一例である。すなわち商品あるいは材料として棚卸資産に計上している土地、マンションなどにつきその時価が帳簿価格より目減りした場合、評価減しなければならないという会計基準である。
    先に棚卸資産から固定資産に振り替えるという処理を行った例も述べたが、上記の例はそのままストレートに適用された例である。
次回予告:相続と時価