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各法律上の土地の時価各論

(6)賃貸用不動産の時価の注記
平成22年3月期より賃貸用不動産については、その時価を注記することが求められる。
賃貸用不動産とは文字通り賃貸している不動産であるから、その会社が賃貸を目的としている場合はもとより、営業外の投資として賃貸物件を保有しているケースも含まれる。
その時価を開示せよということである。この場合の時価とは会計上の外の場合と異なり売却可能価格ではなく、正常な市場価格であるとしている。市場価格とは具体的には鑑定評価額であり、実務上は簡便法すなわち路線価、公示価格等から求められる合理的な価額ということになろう。
この時価の注記の要請の根底には、投資用資産については時価評価でB/S表示するという時価主義の思想がある。
我が国においては従来、事業用資産も投資資産も余り厳格に区分せず一様に有形固定資産は取得原価という考え方に存じて来た。今後は国際会計基準の波に洗われて全面時価主義を志向することとなるものと思われる。
この措置によって土地の含み損益が開示され市場の評価に大きな影響を与えるものと思われる。

3.民法における土地の時価
民法において土地の時価が関わる場合がある。それは相続に際してである。

(1)遺産分割における土地の評価
このときの評価は相続開始のときの価額とされ、通常の時価の概念とされている。そして、それは不動産鑑定による評価額が採用される。
実務上は簡便評価として、当事者の合意の上で、相続税路線価、固定資産税評価等が利用される場合がある。
分割が合意されずに調停、審判、裁判に至った場合も同様であって原則として鑑定評価額が基本となる。これは前述の通り自由な市場で通常成立する。客観的な交換価値である。

(2)限定承認における土地の評価
限定承認とは、相次債務を弁済しても相続財産に余剰が生じたときにその譲余財産を相続する制度である。
このとき、相続財産を鑑定評価し、その評価額を弁済して競売に代えることができる。
その際の評価額は正常価格ではなく、競売市場における処分価格となる。これは一般的な価格ではなく競売特有の減価要因を織り込んだ特殊な価格である。